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5  Yコラボ ☆  紫雨―しう―

5  Yコラボ ☆ (仮) 紫雨―しう―   はじめに

Yコラボ ☆  は、“遥か悠遠の朱空へ” よゆままさんと不定期に開催している限定コラボです。

予測できない展開で進むのが、コラボの面白いところ。

昔から、コラボしている仲間なのでお互いに切磋琢磨、よい刺激になっています。



紫雨―しう―

涙ぐむこと。涙を落とすこと。また、その涙。

☆コラボスタート。
のんびり亀、更新です。

それでもよろしければ、お待ちくださいね。
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5  Yコラボ ☆  紫雨―しう―

紫雨―しう― 1.   さくらぱんcolor

爽やかな風が
池を渡る……風薫る5月。

いつもと変わらない日常を過ごしていた夕鈴は、
ある日、李順さんに王宮の大きな池にある四阿に呼び出された。

「お茶をお淹れました…李順さん、どうぞ」

「ありがとうございます。」

大きな池には、季節の花々。
紫菖蒲が、凜として天に向かい涼やかに咲いている。
丸い蓮の葉の重なりに、淡い色のかわいらしい
薄紅色した蓮の花が水面に咲いていた。

季節は、初夏の彩り…
対岸の藤の花が、甘い香りを放ち…
ゆっくりと流れる季節を教えてくれていた。

「それでお話というのは、どういった用件でしょうか?」

まさか、花を愛でる為に呼び出したのではないだろう。

なかなか話をしてくれない上司に、
しびれを切らして、夕鈴が問いかける。

緊張感のあまり、ごくりと喉がなった。

「まあ立ち話もなんですから、夕鈴殿もお座り下さい。」

夕鈴が、李順に相対するように、座るのを見届けると、
李順さんは、ゆっくりと話し始めた。

「おめでとうございます!
夕鈴殿の借金が、完済しました!
晴れてあなたは、自由の身ですよ。」

「本当ですか?」

あまりに突然のことで身を乗り出して夕鈴は、
李順さんに詰め寄った。

「貴女に嘘を言ってどうするのです!
……来月の給料日に、全ての借金が完済されます。」

「それで……
夕鈴殿は、これから、どうなさいますか?」

漠然とした質問に、夕鈴は初め
何を質問されたのか、分からなかった。


…続く




テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

5  Yコラボ ☆  紫雨―しう―

紫雨―しう― 2.   よゆままcolor

薄茶の瞳は真ん丸になって、李順を見つめていた。

「はぁ・・・・・・・・・。」
「『はぁ』とは何ですか??」
「すっ、すみません!!!!いえ、あんまりにも突然で・・・。」

夕鈴は李順の質問に答える風もなく、ただ自分の放った言葉の弁解のみに留めた。

「確かに突然でしたね。でも、元々ここまでバイト期間が長くなったのも、貴女の粗忽な行動のせいでしたからね・・・本来なら、もうとっくの昔に終わっていたのですから。」
「はい・・・・・・・・・。」

夕鈴はぼんやりと返事をしつつ、考えるのは『解雇』された後の自分の生活の行く末。
下町で何もなかったかのように、過ごす自分。
そこには勿論の事、陛下はいない。

寂しい・・・・・・・。

その感情だけが夕鈴の胸の奥に去来する。

「とにかく、伝えましたからね。」

李順さんがそれだけを言い放つと、その場を立ち去った。
そしてそこに残された夕鈴は動くことも出来ずに、
身体は銅像のように固まり瞳は虚ろで、何も写さなかった。



…続く

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

5  Yコラボ ☆  紫雨―しう―

紫雨―しう― 3.   MIX.color

このまま、ここに居ても仕方ない。
空虚のまま……重い足取りで、後宮の自室に向かった。


何をしても、気が滅入る。
どうしても、気が散って仕方なかった。
何も手につかない、仕方なしに
夕鈴は窓辺に椅子を運ぶと、流れる雲を眺めた。

思いだすのは、これまでの陛下との日々。
楽しかった思い出が、浮かんでは消え。
消えては、浮かぶ。






いつの間にか、辺りは暗くなり
刻々と青から藍へ変わりゆく空を見つめ
陽は落ちて、夜に変わる様を夕鈴は飽きずに眺める。

とうとう…細く冴えた弓張り月が昇り、部屋の灯りが無くなっても……
夕鈴は、空を見上げながら、物思いにふけった。


「夕鈴・・・・・ゆ・・・・・・りん・・・・・・・・・・ゆうりん。」

この声は。

「陛下。」

「こんなところで、どうしたの。
灯りもつけずに……」

驚きの声と共に、肩に手をかけられた。

「どこか、具合でも悪いのか?
侍医を呼ぼうか?」

「いえ……
大丈夫です。
ご心配いりません。」

「ただ、月日が経つのはこういう風に
一日が過ぎることが積み重なるってことなんだなと思って……」


「???」

陛下の怪訝そうな表情。
確かにそうよね。
私だって意味不明なことを口走っていることくらいわかっているもの。

それでもね具合が悪くないことを陛下は知ると
いつものように、小さな「ただいま」と共に、
甘い演技で後ろから抱きすくめられた。

「夕鈴、その積み重なった月日が
僕にとってどんなに大切なことかということは分かる??」

「えっ???」


月明かりに映る陛下の表情は、穏やかなモノだった。
甘い言葉に、愛されていると勘違いしそうになる。


そんなことは、万に一つも可能性はないのに……

月明かりに浮かぶ穏やかな陛下の表情。
小犬でもなく…狼でもない温かな……


吸い込まれそうなほど美しい陛下の紅い瞳は、
夜の闇に深く沈んで…真意までは見いだせない。

夕鈴は、陛下の逞しいその腕で、更にキュッと抱き締められた。

力強さに、ドキンと跳ねる心を抑えられない。

耳元で甘く囁く陛下の言葉が、夕鈴の心を掻き乱す。

「君との日々は、毎日が宝物だ…」

「……陛下。」

引き寄せられた陛下の胸の中で、大好きな陛下が囁く。

……好き。

もうすぐ、こんな風に過ごせなくなると思うと、
恥ずかしさより、哀しみが胸に押し寄せてきた。

…陛下が、だいすき。

……なのに。

言葉にすることが、できない。

…好きなの。


その一言が言えない。


このまま陛下が好きと伝えないまま……
バイト期間が終了して
陛下と別れていいのかな?

いつの間にか、冷たい涙が頬を伝う。

温かくて、とても苦い
叶わぬ恋の苦しみ。


夕鈴の心からの涙だった。

……続き

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

5  Yコラボ ☆  紫雨―しう―

紫雨―しう― 4.   よゆままcolor

「どうして・・・夕鈴は泣いてるの?」
「どうしてでしょうね。私にもわかりません。」

分からないはずはない。
自分自身の気持ち。
封をしても、いつの間にか溢れてくる。
そして勝手に私の心を蠢く。

「へ・・・いか、私・・・・後宮を辞することになりました。
色々と有難うございました。」
「えっ??どうしてっっ??」
「李順さんから『借金が完済された』と告げられて・・・私、自由の身となったんです。」

涙声にならないように、努めて明るい声音で黎翔に告げる。

「そういえば・・・今日、李順が云っていたような。」
「はいっっ、本当にお世話になりました!!!」

夕鈴はスクリと立ち上がって、深々と頭を下げる。
その際に地面に零れ落ちた一滴を、黎翔は見逃しはしなかった。

「夕鈴!!!誰が辞してよいと云った??私は何も命じてはいないのだが。」
「いや・・・でも。」
「李順がどう云おうと、この国の王は私だ。その私が許可してもいないのに、どうして君は私の元から去れると云うんだ!!!」

目の前の深紅の瞳が、力を帯びて輝く。
誰も『否』と言わせないほどの眼力。


これこそ、陛下が『狼陛下』たる所以なのね・・・・。


夕鈴はぼんやりとそんなことを考えていた。


テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

5  Yコラボ ☆  紫雨―しう―

紫雨―しう― 5   さくらぱんcolor

ツイッ……と陛下の指先が、夕鈴の顎へと伸びた。
彼女の輪郭を辿り、上向かせる。

夕鈴を真っ直ぐに射抜く、
陛下の真紅の瞳。

鋭い眼光は、狼陛下のもの。

纏う気配も、何もかも……
狼陛下のもの。

“美しく気高い森の王”

誰がが、野生の狼のことをそう言ってたっけ……
廻らない頭で、そんなことを考える。

綺麗な瞳。
紅い赤い二つの宝玉。

魅入られたかのように、
夕鈴は、陛下の瞳から目が離せなくなった。

「否は、……許さない。」
―――逃がさないっ。

近づいてくる、美しい陛下の顔。
至近距離の唇に、彼女は抵抗する間もなく、唇を奪われた。
触れるだけの口付けでなくて……自然と頬が火照る。

ようやく離れた時、呼吸もままならない彼女の戸惑い。

「あっ…あの、陛下!今は演技は、必要ないです。」

彼女の素朴な疑問が、私の心に火をつけた。

愛しくて鈍感な可愛い娘。
私が、唯一愛している。
疑うことを知らない、無垢で残酷な可愛い女。

誰よりも、君を愛している―――夕鈴。
君は、ここまでされて私の気持ちに気がつかないの?

むくりと擡げた狼の顎(あぎと)は、残忍に牙をむく。
愛しても愛しても、伝わらない気持ちが、苛立ち混じりに君に向く。

冷ややかな視線で、夕鈴に質問した。

「君は、これが演技だと思っていたの?」

「……え?
演技じゃないの?」


真っ赤に、頬を染めた夕鈴は、
大きなハシバミ色の瞳を更に丸くして
私の腕の中で、驚いていた。

……続く

5  Yコラボ ☆  紫雨―しう―

紫雨―しう― 6   よゆままcolor

そんな事云われるだなんて、思いも寄らなかった。

狼陛下が演技でない、だなんて・・・
寝耳に水とはこういうことを云うのね。

でもそれならどうして初めて逢った時に、演技だと云ったのかしら。
それをどうして今になって、嘘だったと告げるの?

私は混乱してきて、先程の陛下の行為も完全にどうでもいいことになっていた。

「陛下・・・・・・・・どちらも本当なのですか??」

恐る恐る訊ねる。
でも本当はその答えを知るのが怖い。

事実を知るのが。


「どちらの私も私なのだと云ったら、君はどうするの??」
「・・・どうする??」

私は返答に困った。
だから同じ言葉を繰り返す。

「僕の元から逃げる??」
「えっ??」

逃げる???
それは解雇されるってこと??

まぁ、借金は無くなったんだし、
解雇も同然だしね。

じゃあ、さっき陛下が云ったことは・・・何だったの??
『私が辞して良いと云ってないのに去れるはずはない』とか何とか。

もう何が何だか分からない。
陛下の本当の想いも分からない。
事実と虚構が混じり合い、私を翻弄していく。

「陛下・・・・・・・・・事実は?」

勇気を出して再度訊ねる。

「夕鈴、どちらの私も私だよ。」

その言葉に衝撃が走ったのは云うまでもない。


……続く

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

5  Yコラボ ☆  紫雨―しう―

紫雨―しう― 7   さくらぱんcolor

カツ……

乾いた靴音が、静かな室内に響いた。
一歩づつ陛下が近づいていく……

いつもの雰囲気と違う
硬質で……怖い。
本能的に、私は一歩後ずさった。

信じていたものが、崩れ去る音が聞こえた。

“夕鈴、どちらの私も私だよ。”

先ほどの陛下の言葉が木霊のように耳に残る。

優しかった陛下も
甘い陛下も
あの笑顔も
すべては、嘘だったということ?

認めたくなくて、私は小さく被りを振った。
青ざめた顔は、冷たい狼陛下しか見えなくて……
冷たい硬質な笑顔は、いつもの優しい陛下の顔でなくて

“狼陛下”

通り名の片鱗を纏い由縁を知った気がした。。

「ほう?
私から逃げるのか?」

鋭い眼光に射すくめられて……
くず折れそうになる、膝が笑った。

「……嘘ですよね、陛下?」


現実と悪夢の狭間で、私は認めたくないのに

そういえば、あれも?
コレも?

どこかで納得している自分も居て……

「私が、怖いか?夕鈴」





……とんっ。

陛下の近い声の距離に、
気づけば、壁際に私は追い詰められていた。


……続く

5  Yコラボ ☆  紫雨―しう―

紫雨―しう― 8   よゆままcolor

もう逃げられない・・・・
私は逃げたいの?
いや、そうじゃない。
陛下の味方でいたい・・・はず。

でもこんなのは駄目なんだと、私の奥底で警鐘が鳴る。

「へ・・・・い・・・か、こんなのズルいです。」

「ズルいとは?」

「・・・・・・・・・こんなの陛下じゃ・・・・ない。」

紅く・・・そう深い紅の双眸がキラリと輝きを増す。
口元に宿る妖しい笑み。

「では、本当の私とは?」

陛下は、私に質問しかしない。
その間も詰められていく……陛下と私の距離。

「ち・・・・が・・・う。」
「違うとは?」

徐々に近づいてくる 端正な顔。
私は耐え切れず……不意に顔を背けた。

どうしていいのか、分からないから。
背けた顔に迫る長い指。
顎下に入れられ、ツィッと陛下の方に向けられる。

その瞬間、私は堅く瞳を瞑った。

・・・・・怖い。

恐怖が吹き荒れる。
私の中で。


うんっっ????
温かい。


薄眼を開けると。
そこには、陛下の真摯な瞳が。

そして・・・・・触れ合っている唇。
いや違う、口付けられている。

「あっ~ん。」

角度を変えられて、何度も塞がれる唇。
















長い・・・・・・・沈黙の刻。

流れ込んでくる陛下の想い。
溢れだす私の想い。

いつの間にか、私の頬には光る滴が滑り落ちていた。

どんな陛下でもいい。
この時。
今、まさに相対峙しているのが陛下なのだから。

狼陛下であろうと。
小犬陛下であろうと。

あるがままのこの姿が真実。
私が見つめているのが本質。
そして感じるものが真(まこと)。

溢れだす涙が、止まらない。


「夕鈴??」

名残惜しそうに離される唇。
私は慌てて、手の甲で涙を拭い取った。

「陛下、私・・・わかったんです。
どちらの陛下も陛下なんだと。」

途端、陛下がふんわりと・・・・・そう、穏やかに微笑んだ。
つられて私も笑みが零れる。

「これからも、そのままの陛下でいてください。
私は、傍にいますから。」


そう云った私の瞳からもう紫雨が流れることは無かった。



END

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