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4 繋ぐ……連想-2

5.手離せない……   さくらぱんcolor

2.お題
おりざ
(イラスト☆おりざ)





「逃げぬのか?」

凪いだ水面を渡る風のように、
静かに、ポツリと陛下が呟いた。

「逃げません。」

私は、きっぱりと陛下に告げた。
捕捉された手に、陛下の力が、かかる。

怖いほど……力強いのに、痛みなど感じなかった。



それよりも…
私を狩ろうとしている陛下は、
どこか傷ついているように見えて……
なぜなのかしら?

ーーーー私は、突き放せない。


この人を一人にしちゃダメだ。
根拠は無いけど、強く思った。
私は、倒れこむように、陛下の胸に身体を預けた。

「逃げません。」

もう一度、キッパリと告げると……
戸惑ったような陛下の声。

「私は、君の思っているような者ではない。
君は、私のなにを知っているというんだ?」

冷酷非情の狼陛下の顎(あぎと)を、見た気がした。
突然むくりと起きた獣の声に身震いする。
とても冷たい他者を拒絶する声。

だけど……それさえも、陛下が傷ついてるように感じて
私は、悲しくなった。
ギュっ…と衣に顔を押し付けて、悲しいのを我慢した。

「脅したって、無駄です。
怖くないですから……
陛下が、優しいのは知っています。」

「君は、間違っている。
君は、私の本当を知らない。」

「私は、私の見てきたものだけを
信じたいだけです。
陛下は、優しい……」

「だから、逃げません。
私は、陛下を信じているもの。」





どれくらい時間がたったのだろう。

ふぅーー

私の頭上で
細く長い陛下のため息が、聞こえた。

先ほどまで、強く握り締められた重なる手が、
今度は、壊れ物を扱うかのように優しくなった。

「この先もう、逃げられぬぞ、夕鈴。
逃がすつもりは無い。
後悔しても知らぬぞ……」

「たった一度きりの逃げ道を自ら捨てるとは。
……馬鹿な兎だ。」

指先を絡めて、お互いをしっかりと包み込む。
手のひらから、陛下の優しいぬくもりが伝わった。

少しでも、あなたの傍に居たい……

溢れ出す感情は、あなたが好きだから。
私は繋いだ陛下の手を、ぎゅっと握り締めた。

陛下が応えるように
私の背中をキツク抱きしめる。
痛いほど、逞しいその腕で抱きしめられた。

低く呟く狼陛下の声が、
静かに私に語りかけた。

「……夕鈴、もう逃げられないぞ。
手放すつもりだったが、もう遅い。」

嬉しそうに聞こえるのは、私の欲目?
私は、近すぎる声の距離に驚いて顔を上げた。
触れ合う距離に、嬉しそうに煌めく陛下の紅い瞳があった。

「逃げようとしても……もう、無駄だ。
この先、手離すつもりはもう無い。」

「逃げませんと、何度言えば…。」

何度言っても分かってくれない。
少し憤慨して、声を荒げて陛下に断言した。

ーーその時。

唇に柔らかなものが触れた。
何かを確認する間もなく・・・
目を白黒させて驚いていると、
優しく笑う陛下の笑顔。

陛下の見たことも無い
狼陛下とも小犬陛下とも違う
蕩けるような甘い笑顔に
私は、しばし見とれた。

「分かっている。
愛しい我が妃よ。
君を愛している……。」

「愛しすぎて、君を手離せない。
夕鈴、好きだ!!」

何を言われたのか、私は頭で理解できない。
夢でも、見ているのかしら?
ぱちくりと、大きな目を更に大きくして陛下を見つめた。

それでも信じられなくて、空いてる手で
頬をつねってみる。

「----痛いっ。
夢じゃない。」

「ええーーーっ!!
陛下、今なんて…「ンっ……」」

続く私の言葉は、
楽しげに笑う陛下の唇に奪われ、
口付けと共に飲み込まれて消えた。




ssさくらぱん



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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

4 繋ぐ……連想-2

6.離れない… さくらぱんcolor

※かなりのIF要注意!!! 
王都炎上しています。


おりざ
(イラスト☆おりざ)



春一番という名に相応しい強風が、白陽国に吹いた。

時の嵐に、翻弄される私達。

「夕鈴…ダメだ!
逃げろ」

「嫌です!
ずっとお側に居りますと、約束したではありませんか?」

「君まで、私に付き合うことはない。
逃げるんだ……」

王宮の玉座の間。

「陛下っ…イヤ!」

舐めるように火の手が迫り来る。
逃げ場は、無くなるばかり…

同盟を結んだ隣国と思い、黎翔は油断した。
まさか内部から、崩壊を手引きするものがいるとは。

明らかに、油断していた黎翔の失策。
後世に……妃を娶り、浮かれて国を無くしたと、
謗られても、しかたない。

黎翔は、燃え上がる玉座の間を一瞥すると
悔しさで、ギリギリと歯噛みした。
口の中が、鉄錆びの味がする。

そんな陛下の様子に
夕鈴は、黎翔の手をとり、しっかりと握りしめた。

「陛下、離さないでください。
死ぬ時は、一緒です!」

もうすぐ死ぬのだというのに、何事もないように
いつもの穏やかな笑顔で、夕鈴は微笑んでみせた。

「夕鈴…」

「陛下、愛しております。
陛下と出会えて幸せでした。」

「ああ…私もだ…
夕鈴、愛している」

「来世で、お会いしましょう!」

「ああ……会おう!」

紅蓮の炎が、玉座の二人を襲う。
漆黒の煙が、残る酸素を奪っていった。

王宮の天井の太い梁が、崩れた。
それでも、二人は逃げない。

ーーーーここで、最後の時を迎えると決めたから。

灼熱の炎に包まれて…
それでも尚、お互いを抱き寄せて、幸せに逝った。

白陽国・最後の国王、珀黎翔陛下と
その唯一無二の妃・夕鈴妃の最後の時。

来世でも…誓い合う。
王の最後の恋。



DSCN0987-30.jpg



***


……あれ?
方向性が、曲がった。

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4 繋ぐ……連想-2

7.飛燕 さくらぱんcolor

おりざ
(イラスト☆おりざ)



汗ばむ肌に、髪が張り付く。
爽やかな風が、髪に孕む季節が嬉しい。
そんな春の終わり。
 
夕鈴は、晴れた空の下
風に乱れる髪を抑えながら、
後宮の四阿に、ハシゴを立てかけ登りはじめていた。

「おやめくださいませ!
お妃さま!

落ちたら大変です!
お怪我をなされたます!
おやめください!」

夕鈴の様子を見守る侍女達は、いちように顔を青ざめ
オロオロと夕鈴の登るハシゴを見つめて、幾重にも取り囲む。

「大丈夫よ!
ほら、もう少しで、手が届く……」

「…きゃあ!
お妃さまっ、片手を!

危ないです。
おやめくださいっ!」

「もう…大げさなんだから…
大丈夫よ!」

夕鈴は、さらに片手を伸ばし……
ハシゴから身をのり出した。

何人かの侍女が、見ていられないとその場に倒れ、
他の侍女が懐抱する…

後宮の四阿は、今や
ちょっとした大騒ぎだった。


  


事の発端は、些細な変化。
問題の四阿でのこと。

甲高いヒナ鳥の鳴き声に気付き
夕鈴が、辺りを見渡すと……
ツバメの巣があった。

土塊でできた巣に、

…一羽、

……二羽、

………三羽。

可愛らしい大きな黄色いクチバシが、
親鳥が来るたひに、大きな口を開けて
我先に… 餌をねだる。

“お腹空いた”

“お腹空いた”

と、親鳥に鳴いていた。

よく耳を澄ますと、その声は足元にも…
一羽の小さなヒナが、巣から落ちて、地面で弱々しく鳴いていた。

「可哀相に……
巣から落ちたんだわ……。
誰か、ハシゴを持ってきてください。」

すぐに、侍女はハシゴを持ってきてくれたが……
誰一人ツバメのヒナを、手にとる勇気を持つ侍女は、居なかった。

……ヒナをこのままに、しておけないわ……

仕方がないので夕鈴が、ヒナを片手にハシゴを登りはじめる。
市井出身の彼女にとって、こんなことは容易なことだった。

だけど、それを知らぬ侍女達は、肝を冷やした。

狼陛下が大事にしている唯一無二の妃に、
万いちが、起こったら首を、跳ねられるかもしれない!

「お妃様っ~~」

見ていられないっ。

  



「……あと、ちょっと!」

「………んぅ」

「ああ……ようやく戻せた!」

夕鈴の手元から、ようやくヒナが巣に戻った。
近くの枝に、親ツバメが、ジッ……と、夕鈴の様子を見ていた。

「……もう、落ちちゃダメよ」

夕鈴は、巣に戻ったヒナに微笑むと、ハシゴの上でハッ…と、息を呑んだ。

後宮の宮殿から、走り寄る人影……

ーーあれは。

「何事だ!
何の騒ぎだコレは?」

騒ぎを、聞きつけて来たのだろう……
陛下だった。

「夕鈴っ!
危ないではないか! 」

四阿に立てかけられたハシゴの先に、
夕鈴の姿を見つけると陛下は顔を青ざめた!

…ヤバい…
見つかった……

夕鈴は、大きな声に驚き…
身を竦ませた。

その時……

……ぇ?

「危ないっ!」

キャアアアーー!

在るはずの場所にハシゴは無く…
夕鈴は足を滑らせた


……
………
…………


そのまま ハシゴから、落下する。

じ・・・地面に落ちるっ!

夕鈴は、そう思いながら、ギュッと瞳を瞑った。
ところが、なかなか地面に落ちない。
痛みも無い。 代わりに

……ポスン。

柔らかなものに、包まれた。

それが、何かを確かめたくて…
でも…夕鈴の予想どおりなら、そんなこと怖くて確認できない。

ギュッと瞳を閉じたまま……
ジッ…としていると。

「大丈夫か、夕鈴!?
……怪我は無い?」

心配そうな陛下の声。
その近過ぎる距離に驚き、パチリと瞳を開けると、
至近距離で見つめる赤い瞳とかちあった……

「夕鈴どこか怪我をしたのか?」

もう一度囁かれた陛下の声が、少し震えていた。

バツの悪い思いで、夕鈴は陛下を見つめた。

……また、陛下に心配かけちゃった。
この件が、李順さんにばれたら、叱られるわ……

「陛下、助けてくださってありがとうございます!
怪我はありません……」

その言葉を聞いた陛下は、ホッと肩の力を抜くと…
少し、声を荒げて怒り出した。

「なぜ…ハシゴなんかに上るんだ…」

「君が、ハシゴから落ちた時、生きた心地がしなかった…」

陛下に、ギュッと強く抱き締められた。
それだけ心配をかけてしまったと分かるだけに、
夕鈴は、益々申し訳なく思う。

素直な言葉が、言葉にでた。

「陛下、申し訳ございません。」


その様子を見ていた侍女達は、怪我も無く無事な主の様子を確認すると
ホッとした。
仲むつまじい国王夫婦に、微笑みあい、お互いに頷くと
心得たようにススッ……と、音もなくその場を離れていった。

辺りは、シン……と静まり。
四阿には、陛下と夕鈴だけが残された。

…トクン。

……トクン…。

力強く脈打つ、陛下の心臓の音がする。
夕鈴は、陛下の胸に凭れながら…
陛下の規則正しい心音を聞いていた。

もう、そんなに強く抱き締められているわけでもないのに…
夕鈴は動けなかった。
陛下の腕の中で大きな安らぎと安心感を感じていた。




「何故……こんなことをしたの?
私が気づかなければ、地面に落ちていたよ!」

「ツバメの雛が、巣から落ちていたんです。
巣に返そうと、思って……」

「…………。」

「雛は、無事に返せたのですが、
その後、あのようなことに!」

「君が無事で、良かった!」

「まさか落ちるとは、思わなかったんです……
下町では、平気でしたから……」

落ちた瞬間を思い出したら…急にゾッと寒気が走った。
そのまま……カタカタと膝が笑う…

本当に、陛下に助けて貰わなかったらどうなっていたんだろう?

助かって良かったと実感する程に
身体の震えが何故か止まらない。

夕鈴は、心を込めてお礼を言った。

「陛下、助けてくれてありがとうございます!」

「うん。
間に合って、良かった!」

震えが止まらない身体を、陛下が強く抱き締めてくれた!

「もう大丈夫だからね。」

小さな子供をあやすように、髪を撫でられた。

心配かけちゃたな……

優しい陛下の言葉に申し訳なさで、キュウンと胸が痛くなる。

「もう無茶はしないで…
私の命が、幾つあっても足りないから……」

狼陛下の声で、囁かれた切ない懇願の声に、
夕鈴は、気づかなかった。




「…ごめんなさい。」

まだ微かに震えてる両手で、陛下を抱き締めた。

「もしも君が怪我をしたら、
私が、悲しむことを覚えておいてくれ」

「……陛下。」

風が、強く吹いている。
夕鈴の身体の震えは、なかなか止ってくれない。

陛下は、夕鈴の震えが止まるまで、ずっと優しく抱き締めてくれた。

ツバメが空を飛びまわる。
幾度も、訪れる親鳥のように……

何度も、陛下は夕鈴に唇を重ねた。

「約束だ……
もう、無茶はしないで……」

季節の終わりと共に
新しい季節が訪れる。

彼女が、助けたツバメは、
無事に南の国へと旅立つのだろう。

いつか、君も。
手離さなければ……

だけど……まだ、それは先の話。
それまでは、私が守るよ。

君は、私の唯一無二の妃。
狼陛下の花嫁なのだから。

テーマ : 二次創作:小説
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