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5  Yコラボ ☆  紫雨―しう―

紫雨―しう― 5   さくらぱんcolor

ツイッ……と陛下の指先が、夕鈴の顎へと伸びた。
彼女の輪郭を辿り、上向かせる。

夕鈴を真っ直ぐに射抜く、
陛下の真紅の瞳。

鋭い眼光は、狼陛下のもの。

纏う気配も、何もかも……
狼陛下のもの。

“美しく気高い森の王”

誰がが、野生の狼のことをそう言ってたっけ……
廻らない頭で、そんなことを考える。

綺麗な瞳。
紅い赤い二つの宝玉。

魅入られたかのように、
夕鈴は、陛下の瞳から目が離せなくなった。

「否は、……許さない。」
―――逃がさないっ。

近づいてくる、美しい陛下の顔。
至近距離の唇に、彼女は抵抗する間もなく、唇を奪われた。
触れるだけの口付けでなくて……自然と頬が火照る。

ようやく離れた時、呼吸もままならない彼女の戸惑い。

「あっ…あの、陛下!今は演技は、必要ないです。」

彼女の素朴な疑問が、私の心に火をつけた。

愛しくて鈍感な可愛い娘。
私が、唯一愛している。
疑うことを知らない、無垢で残酷な可愛い女。

誰よりも、君を愛している―――夕鈴。
君は、ここまでされて私の気持ちに気がつかないの?

むくりと擡げた狼の顎(あぎと)は、残忍に牙をむく。
愛しても愛しても、伝わらない気持ちが、苛立ち混じりに君に向く。

冷ややかな視線で、夕鈴に質問した。

「君は、これが演技だと思っていたの?」

「……え?
演技じゃないの?」


真っ赤に、頬を染めた夕鈴は、
大きなハシバミ色の瞳を更に丸くして
私の腕の中で、驚いていた。

……続く

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