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1 本誌沿い 春・夏・秋・冬

二巡目【秋】  さくらぱんcolor

「ゆーりん♪
ただいまっ!!」

いつもより早い時間の帰宅に
夕餉の仕度もできていなくて……
夕鈴は、焦った。

「お帰りなさいませ。
今日は、お早いお帰りですね。」

「今日は、仕事が早く終わったんだ。
早くかわいいお嫁さんの顔が見たくて……
まっすぐ来ちゃった。」

陛下のお仕事が早かったのは、良い事なのだけれど。

こう、ぎゅうぎゅうと
後ろから抱きしめられいて
髪に陛下の顔が押し付けられるのは、気が気じゃあない。

まだ、湯浴みもしていないのに
くんかくんか・・・髪の匂いを嗅がれて・・・

ううっ……
恥ずかしい。

こんな時には陛下って、
ホントに小犬っぽいなぁ。・・・などと思う。

「陛下、
(ぎゅっと抱きしめるの)もう、いいでしょう?
離してくださいませんか?」

居心地悪そうに夕鈴が
離れようと身じろぎしたら……

「ゆーりん。
なんだか甘くて、いい匂い。

……これは、なんの香りかな?」

耳元で、囁く陛下の声。
熱い吐息が夕鈴の首筋にかかり、
ひゃん。
彼女は、首をすくめた。

「陛下、くすぐったい。
離し…て……」

その匂いを確かめるかのように、
ますます陛下は、
くんくん…と小犬のように夕鈴の髪を嗅いでいく……

陛下は、まったく離してくれそうになくて……
彼女は困ってしまった。

真っ赤な顔で、ジタバタ……と、
ささやかな抵抗をするも。

緩やかなくせに、はがれない。
抱きしめられているから、
まったく身動きが取れなくて口惜しい。

“夕餉の支度が整うまで、一人にしておいてくれませんか?”
さきほど、女官長にお願いした言葉がよみがえる。

……先に、人払いしておいてよかった。
今更ながらに、安堵した。

自室には、陛下と夕鈴しか居なくて……
こんな小犬な陛下を見られるわけにいかない。

侍女が一人でも居たら、こんな困った状況にはならなかったなどと
彼女は、考えもしなかった。
しばらくして、陛下が口を開いた。

キラリ☆
イタズラめいた紅い瞳が煌く。

「分かった。
君が今日。
どこに居たのか当ててあげよう。」

「当たったら、なにかご褒美くれる?」

「いいですよ。
当たったらデスネ……」

やっと離してくれたことに、ほっとして、
にこやかに夕鈴は答えた。

それが、陛下の策略とも知らずに……



***


「今日、君は後宮の奥。
金木犀の木の下に居たんだろう?
しかも、髪に残り香がうつるほど、長く居た。
……当たり?」

「はい。
よく当てましたね。
午後からは、金木犀の木の下で読書をしていたんです。」

「秋の庭の木漏れ日が、とても過ごしやすくて
つい長居をしてしまいました。」

にこやかに応える夕鈴に、
黎翔は詰め寄った。

「当たったね。
んじゃ……
僕に、ご褒美 頂戴。」

「待って……陛下、 私。
何も、あげられるもの持ってない。」

「えーー・・・
僕、ご褒美欲しいなぁ。」

残念そうな小犬の耳がしょげた。

「じゃ……
明日は、陛下のために夕餉を作ります!
それでいいですか?」

「……それも、いいけど。
僕は、コレが欲しいな……」

陛下に、抱き寄せられて……
夕鈴は、頤を捕らわれた。

上向かせられた夕鈴の下唇を、陛下の親指がなぞる。

「えっ?
……えっ?
唇?
ええっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ?」

「約束だから……
遠慮なく、貰うよ、夕鈴。」

煌き…近付く、狼の瞳。
その紅き瞳には、もう小犬の色は無くて……

「陛下っ…ダメ「ん…」」

「ンンっ!「ぁ……」」

「……甘いな。
君に酔いそうだ……」

奪われた唇に、口移しで移された陛下の熱。

抗えぬまま……
妖しく溶かされていく。

――秋の夜長。

夕鈴の髪から零れ落ちた、
星屑のようなオレンジの花。

甘い香りが、ふわりと夜風に攫われ消えた。
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