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1. 電球陛下

王宮バージョンその1

ある王国の光る王様のお話。



年末も差し迫ったある夜。
官吏たちも退出し、執務室には国王とその側近のみ。
静かな部屋に、陛下の灯す明かりと、側近の声が響く。
「陛下!しゃきっとして下さいっ!!万が一、誰かに見られたら如何するんですか!!」
側近の叱咤にも、陛下の点滅は収まらない。
15から20ワットの弱々しい発光を繰り返しながら、しょんぼりと肩を落とし、だらーんと執務机に突っ伏している。

「ゆーりん…」
ぼそっと呟くも、答えてくれる愛しい声は無かった。

「……ゆーりんのお茶が飲みたい」(何処から飲むのか聞いてはいけない)
「もうヤダ。飽きた。ゆーりんが居ないとやる気出ないよ~」
先程からの陛下の点滅、ではなく呟きに、側近の怒気は上がってくる。
「正月前のお休みをお許しになったのは陛下ご自身でしょう!
夕鈴殿が戻られるまで、きちんと仕事をして下さい!!」
ぎりぎりと奥歯を噛締めながら、側近が吠える。

「……やっぱり一緒に行けば良かった…」
「なに言ってんですか!そんなこと出来るはずないでしょう!!」
いーからさっさと仕事しろやっ!というオーラを吹き出しながら、李順は尚も書類を片付けさせようとせっつくが、いかんせん、切れそうになっている(精神的にではない)陛下は、なかなか動こうとしない。
仕方なく、李順は戦法を変えた。
「……このままご政務を放り出して、城下に行かれたら、夕鈴殿がどう思われるか……。
きっと、帰って来てからの夕餉の約束も、差し入れも無くなるでしょうねぇ」
側近の呟きに、陛下の点滅が止まった。
「夕餉?差し入れ?!」
くりんっ!と電球が回った。
もとい、陛下が(多分正面だと思われる)面を側近に向けた。
「おや?そういうお約束では無かったのですか?」
夕鈴殿が出かける前に、言っておりましたが?
メガネに手を掛け、上手く表情を隠しながら、李順はそう付け加える。
陛下のワット数が40に上がった。
「夕鈴殿が帰ってくるまでに書類が片付きましたら、1日お休みを作って差し上げることも、出来そうなんですがねぇ」
もう一押し、と側近は囁く。

「…1日休み……ゆーりんとデート……」

側近の策略に嵌ってゆく陛下。
ワット数は、一気に100まで上り、部屋はかなりの明るさに包まれた。
色々と脳内で妄想、いや、予想を立てたのか。
陛下の明かりが、楽しげに光る。

「李順。本当に、この書類を片付ければ、1日休みになるんだな?」
カッと眩く光りながら、陛下が念を押す。
目にもとまらぬ早業で、眼鏡を度入りグラサンに掛け替えていた李順は、重々しく頷く。
「はい。私に二言はございません。
今現在、溜まっている書類、全て片付けることが出来ましたら、1日後宮に籠られようが、城下に遊びに行かれようが、御好きになさって構いません」
「良し。分かった」
側近の思惑に嵌った陛下は、俄然やる気になり、部屋中を煌々と照らしながら、仕事に没頭しだした。


それからの陛下は、夜中まで書類と格闘し、次の日は朝からワット数全開(最大1000W)で官吏たちを叱りつけながら、書類の山を崩してゆく。

夕鈴の宿下がりは、2日間だ。
年始の行事が始まれば、また慌ただしく、忙しない日々が続く。
その前に、1日ゆっくりできるのならば、何としても、休みをもぎ取ってやる!
と陛下はやる気を発光に変えて、昼間だと言うのに最大に光りながら、仕事を進める。

「陛下、少し光を押さえて下さい。昼間なのに、勿体ないです」
側近に囁かれながらも、陛下はどこ吹く風といった様に、発光を抑えること無く、次々と決済を進めていく。

「……普段から、そのやる気を出して下されば、ここまで書類が溜まることは無いんですがねぇ」
側近の愚痴も、勿論黙殺された。


サングラスをしても、陛下の眩さに耐えられなくなっていった官吏が、一人二人と脱落していく。
そんな中、これでもかと言うくらい、眉間にしわを寄せ、糸目になりながらも頑張っていた補佐官の柳 方淵さえもが、限界かと思われた頃には、陽もどっぷりと沈み、陛下の明るさだけが、光源となっていた。

「…今日は此処までと致しましょう。皆さん、ご苦労様でした」
側近の声に、残っていた官吏達はほっと息を付く。

無論、陛下の仕事はまだ終わっていない。
これから決済する書類は、周囲の机に山積みだ。
官吏達が退出していく中、陛下はひたすら書類を読み、書名、押印をしていく。

「…李順。書類の量が減るどころか、増えていないか?」
チカリと光りながら、陛下が書簡に手を伸ばしつつ、側近に突っ込んだ。
「いいえ?昨日から別室に有った、決済待ちの書類をお運びしただけです」
「……………」
何食わぬ顔で、しれっと言い切る側近を、光って威圧する。
「さっさと片付けないと、宰相が書簡を持って来られますよ。
私も、そちらはどうしようもありませんからね」
側近の脅しに、手を動かしながら、陛下は今後の確認をする。
「……夕鈴が戻るのは、明日の午後だったな?」
「はい。陽のあるうちに、戻ってくることになっております」
「……ならば、私の休みは明後日の朝から丸1日だ」
「ええ、構いませんよ。この部屋の書類、全て処理が終われば、問題ありません」
側近の言葉に陛下は頷くと、猛然と筆を動かし始めた。
書類に集中しているためか、ワット数は40に下がっている。
「…ふぅ。このくらいがやはり、丁度いい明るさですね」
いつもの眼鏡に戻し、手元の資料に目を通す側近が、口の中で呟いたのは、陛下には聞こえなかったようだ。

深夜になっても、陛下の手は止まらない。
側近も退出し、静かになった政務室で、黙々と作業を進めていく。
書類の山は、徐々に崩れ、あと2山といったところまできた。
そんな処に、ひょっこり隠れない隠密、浩大が現れた。
「うっわー!陛下ってば、真面目に仕事してる?!」
うぷぷ、と口元を押さえながら、身軽な動作で、窓辺に現れた隠密に、陛下は鋭い光を放った。
「夕鈴はどうした?」
「あーお妃ちゃんは、今日はもう就寝しました。
朝から晩まで、家中の掃除だ片付けだ買い出しだと、走り回って、元気いっぱいだったよ」
浩大の報告に、ふっと陛下の明かりが和らいだ。
「そうか。私の妃は相変わらず飛び跳ねていたか」
「それはもう、ぜんっぜん、じっとしてないっすよ」
下町での夕鈴の事を、あれこれと報告する隠密に、陛下は手元にあった酒を放った。
「おっ!やった」
にぱっと笑い、浩大は上物の酒に口をつける。

「明後日は、私は1日休みだ。邪魔は許さんからな」
言外に、周囲の警戒を怠るな、との命令に、浩大の片眉が上がる。
「へえ?よく李順さんが許したね?」
「今此処にある書類を全て片付けたら、1日休みを作ると言ってきたからな」
「……なるほど…」
「明後日はお嫁さんと1日二人で過ごすんだー♪」
いきなり小犬モードになり、うきうきと光りながら、陛下は筆を動かす。
「それは、良かったデスネ」
ご機嫌な陛下の様子を確認し、酒を飲み終えた浩大は、
「んじゃ、お妃ちゃんの警護に戻りまーす」
来た時同様、音もなく闇の中に消えていった。

その後も陛下は黙々と書類を片付け、夜明け前に、見事残りの山を崩しきった。

午後には、夕鈴が後宮に帰ってくる。

夜明けまでの短い時間、陛下は夕鈴との休みをどう過ごそうかと思いながら、消灯し、束の間の休息を取った。



睡眠時間は短かかったが、朝から陛下は電力…ではなく気力が充実しているようだ。
朝議の時間は、300W程に抑え、大臣達と遣り合い、その後の仕事も、効率良く捌いて行く。
比較的穏やかに、時間が過ぎる。
今日はこのまま何事もなくいくか、と官吏達が思い始めた午後。
その知らせは、一気に王宮をブリザード地帯へ落とした。


いつもの執務室の午後。
すっと李順に近づいた侍官が、何やら手紙らしきものを手渡した。
それを、視界(勿論360度)の端で確認していた陛下は、報告書を見ながらも、神経を向けていた。
その侍官が、夕鈴と共に戻るはずの浩大だというのに、気づいていたからだ。
何事もなく下がって行った浩大の存在を認知しながら、既に頭はお嫁さんの事を考える。

夕鈴が戻ったのか。

陛下の光が少し和らいだ。
だが、側近の眉間に、微かにシワが寄ったのを見て、何か問題が起こったのかと察した。
すぐさま席を立つ。
李順が気づいて呼びとめる前に、さっさと奥の部屋へ移動した。


人払いをして部屋に入り、ドアを閉める。
同時に、何処からともなく浩大が現れた。
「夕鈴に何かあったのか?!」
鋭い光を放ちながら、陛下は短く問い詰める。ワット数も、それに釣られて上がる。
だが、優秀な隠密は何時でも主をからかう事は辞めない。
「いや~。お妃ちゃんはいたって元気。何にも問題ありません」
「では、何だ。一緒に戻ってきたのではないのか?」
「うーん。それがねぇ」
浩大は、困ったように笑いながら、視線を泳がせる。
「李順さんに渡した手紙に書いてあるんだけど…」
「云え」
端的な主の命に、逆らうのは危険だ。
いつ1000Wの光線を浴びせられるか分からない。

「あ~昨日の夜から、弟君が熱を出しちゃって。今朝もまだ少しだるそうだってんで、心配だから、もう一日お休みが欲しい、と……」
隠密の報告に、フリーズする陛下。心の動揺が思い切り頭、いや、光彩に出ていた。
ちかちかと瞬く陛下に「おーい陛下。大丈夫っすか~」と安全な距離を保ちつつ、隠密が声を掛けるも、返答などない。

夕鈴が、帰ってこない……。

今朝方まで、一心不乱に仕事をこなし、休みのプランを練っていたところに、この結果。
明日のお嫁さんとの1日ラブラブ休暇(陛下の独断)に暗雲の兆し。

だが、狼陛下がこんなことでへこたれていては、無駄に消費電力が上がるだけだ。
素早く状況を判断し、次の手を打つべく、脳内で予定を立て直す。
カッと頭を光らせながら、浩大に確認をする。
「弟君の容体は、酷い訳ではないのだな?」
「そーっすね。治りかけなんで、大事を取って、寝てるだけって感じかな。
お妃ちゃんが、過保護だからねぇ。あれこれ甲斐甲斐しく世話焼きまくってました」
「………」
陛下の機嫌が降下してくる。鋭い光が目に刺さるようだ。
そろそろグラサンを取りだした方が良いだろうか、と浩大はそっと懐を確認する。
「…仕方ない。では、明日の朝迎えに…」
陛下としては、自分の中で、何とか折り合いをつけようとしたらしい。
が、それもあっさり打ち砕かれた。
「あ、お妃ちゃんから伝言デス。『陛下は絶対、下町に来ないで下さい』だって」
夕鈴が言うには、青慎の風邪は大したことはないが、万が一にもうつったら大変だし(電球が風邪を引くかどうかは考えない)自分は明日の朝には戻るので、来る必要性は無いだろう、ということらしい。
だが、本当の本音は、ご近所に電球頭の人間を目撃されたら、どう対応して良いのか困る、といったところだ。
面倒事は、極力避けたいのが人としての心情だろう。
「『もし、陛下が汀家に現れたら、今後一切、おやつも夕餉も作りません!』だそうデス」
浩大を通しての伝言に、陛下の電力は、一気に下がった。
10W、と云ったところか。
「………ゆ~りん…………」
がっくりと肩を落とし、ショボイ光を瞬かせて凹んでいく陛下の姿は、傍から見ていると面白い、と浩大は口元を押さえ、楽しんでいる。
が、八つ当たりされても溜まらないので、秘密兵器を取りだした。
「こっちは、遅くなるお詫びってことで、お妃ちゃんから預ってきました~」
浩大が何処からか取り出したのは、小ぶりな布の包み。
数歩の距離を、一瞬で縮めた陛下が、隠密の手から、素早く奪い取る。
包みを開けると、まだ暖かいおまんじゅうが、竹籠の中に収まっていた。
小さな紙片が添えられている。
―――――陛下へ
     戻れなくて、ごめんなさい。 明日の朝には必ず戻ります
     お仕事頑張って下さい。お食事は、きちんと取って下さいね
                               夕鈴―――――

陛下のワット数が、一気に50に上がった。
「……仕方ないな。今回は、妃の帰りを待つとしよう…」

珍しく、陛下が大人しく引き下がった。
(すげえっ!陛下が譲歩したよ!!お妃ちゃん効果絶大!!)
浩大は腹と口を押さえて、笑いを堪える。

「浩大。明日の朝一で、確実に夕鈴を連れ帰ってこい」
おまんじゅうを抱きしめ、ほんわか光っていても、声は狼陛下だった。
休みは明日だ。
今夜から、夕鈴とゆっくり過ごせるとうきうきしていた所を挫かれたが、休みが無くなった訳ではない。
陛下は気を取り直して、今日の政務を片付けてしまう事にした。
お嫁さんに、頑張って、と言われたからには、やるしかない。

その後の陛下は、鬼気迫る勢いで―――時々ワット数が急上昇もして、官吏が脱落していったが―――政務を進め、夕方には後宮に帰って行った。


翌朝―――――
日の出前から、陛下は起きだしていた。
「ゆーりん、まだかな…」
そわそわと部屋をうろつきながら、陛下は今日の予定をあれこれ考える。
朝餉を一緒に出来るだろうか。ご飯の後は、庭を散歩しようか。
昼餉は外で食べるか。いっそ、城下に繰り出そうか。夕餉は夕鈴に作って貰おうかなぁ。
などと、ほわほわ頭を光らせながら、脳内シュミレーションを繰り返していた。

夕鈴の出入りは、後宮奥の、町に近い小さな門だ。
そこから陛下の部屋、夕鈴の使っている部屋へ行くとなると、そこそこ時間が掛る。
夕鈴が戻ってきたら、まず、老師の所で妃衣装に着替えるので、その間に、浩大が
報告に来るはずだった。

陽が昇り、外が大分明るくなってきた。
人が動く気配があちこちでし始める。
だが、まだ浩大は姿を見せない。
……何かあったのだろうか…。
陛下の我慢がそろそろ限界になってきた頃、待ちかねた報告が来た。
「陛下~起きてる~?」
気配で分かるだろうに、そんな声を掛けつつ、浩大が現れる。
「遅い」
「うわっ。もう準備万端っすか」
「夕鈴は?!着替えているのか?」
陛下は早速、老師の部屋に向かおうと、部屋を横切りながら、問いただすが、隠密からは即答が無い。
「浩大?」
「あ~えーっと、お妃ちゃんは、ただ今お着換え中デス。ちゃんと帰ってきています」
自分の望んだ答えのはずなのだが、何か含みのある口調だ。
だが、陛下にとって夕鈴が間違いなく帰ってきたのが分かれば、問題ない。
予定通り、朝餉から一緒に過ごせる、と速効で夕鈴を迎えに行こうとした。
浩大は任務完了とばかりに、さっさと窓から姿を消す。

だが、部屋を出ようとした陛下の元へ、あり得ない存在がやってきた。

「おはようございます。陛下」
今日もきっちり髪を纏め、眼鏡のレンズには、曇り一つない。
端を陛下の電光にきらりと反射させ、有能な側近は、折り目正しく礼を取る。
「……こんな朝早くから何用だ、李順。今日は私は休みだ」
一気に不機嫌モード、鋭い光彩100Wで、陛下は威嚇する。
「はい。それは承知しております」
対する側近も、負けてはいない。
「では、何だ」
「周宰相が、大至急、陛下の決裁を頂きたい書類があるとのことで、政務室にてお待ちしているそうです」
「………私は、今日、休みのはずだが…?」
「仕方ありませんでしょう?確かに、昨日の決裁書類も全て処理は終わっておりますが、宰相の持ち込まれる書類は、私も管轄外なのですから、どうすることも出来ません。
ただ、宰相が『大至急』と仰るのですから、重要な内容かとは思いますので、ここはお出まし頂きたく、お迎えに上がりました」
つらつらと言い繕う側近に、陛下の鋭い光線が浴びせられる。

王と側近との間に、緊迫感の漂う中、陛下の待ち望んだ存在がやってきた。
「失礼致します、陛下。起きていらっしゃいますか?」
その声に、直ぐ様陛下が反応した。
直前の緊迫感は跡片もなく消え、ぱあっと明るく輝く陛下が、待ち望んだお嫁さんを出迎えた。
「ゆーりん!お帰り~!!」
妃衣装に身を包んだ夕鈴に抱きつき、煌々と光る陛下に、夕鈴が慌てて距離を取ろうと
手を突っ張る。
「へっ陛下。いきなり抱きつかないで下さい!」
「え~。やっと帰ってきたお嫁さんに会えて嬉しいって、表現したかっただけだよ」
「私はバイトです!そもそも、そんな表現する必要ないですよね?!」
「そうですね。そんなことをする必要は、まったくございません」
「あ、李順さん。ただ今戻りました。すみません、予定より長くお休みを頂いちゃって」
陛下に捕まったまま、夕鈴は上司への挨拶をする羽目になった。
「いえ、弟君の方は、もう宜しいのですか?」
「はい。お陰様で、軽い風邪だったようで、直ぐに熱も引きましたし、もう大丈夫です!」
「そうですか。では、これから年始まで、忙しくなりますから、貴女も体調には充分に注意して、お仕事に励んで下さい」
「はい!頑張ります」
側近とお嫁さんとの遣り取りに、むすっと黙ったままだった陛下が、割り込む。
「李順。宰相からの書類は、後で目を通しておくから、私の部屋に運んで置け」
夕鈴を捕まえたまま、陛下は李順を追い払おうとするが、側近も簡単には引き下がらない。
「陛下。処理が進まなくては、官吏が困ります」
陛下を何とかしろ、と利順は夕鈴にアイコンタクトを送る。
それを受けた夕鈴は、ごくっと咽喉を鳴らすと、陛下の腕から逃げようと、ジタバタしながら云い募る。
「陛下、ご政務があるのでしたら、早く行ってきた方が良いです。宰相様をお待たせするのも悪いですし」
「え~。夕鈴まで、そんなこと言うの?僕、今日1日お休みなんだよ?
昨日まで、一生懸命書類片付けて、頑張ったんだよ?」
しゅーんと光を萎ませながら、陛下はお嫁さんに泣きつく。
だが、お仕事大事!の夕鈴には、効かなかった。
「陛下。周宰相様が、大至急、と仰られるということは、国にとって、とても大事な事なのではありませんか?
バイトに構っている暇があるなら、お仕事を優先して下さい!」
「そうです、陛下。夕鈴殿の言う通りです。何も、1日掛るとは言っておりません」
夕鈴の言葉を後押しし、李順も陛下を動かそうと連携を取る。
「………夕鈴。朝ご飯は、食べてきた?」
項垂れたままの陛下が、小さく点滅しながら夕鈴に聞く。
「えっと、青慎の朝ご飯を用意しながら、軽くだけですけど…」
「………」
一緒に朝餉、の予定は立ち消えた。
陛下のワット数が、また少し下がったようだ。明るさが落ちた。
「陛下がお仕事している間に、私も少し、お掃除バイト頑張りますから、お仕事が終わったら、一緒に庭でも散歩しましょうか」
何とか、仕事に行かせようと、夕鈴は言い募る。
「……うん」
渋々、と言ったように、漸く陛下が頷いた。
ナイスです、夕鈴殿!と側近が思ったかどうかは分からない。
だが、陛下が頷いたことで、この先の動きは決まった。
「では、陛下。早速政務室までお願いします。夕鈴殿は、一旦部屋へ下がって頂いて結構です。老師の所で掃除をするもよし、御好きになさって下さい」
最後はやや投げやりになりながら、李順は陛下を引きずるようにして、部屋を出て行った。
それを見送った夕鈴は、言われた通り、一旦自分の部屋へ戻ることにした




ご本人様からこちらでの公開許可をいただきました。
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  • 2014年03月31日 (月)
  • 08時58分18秒
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by AlphaWolfy
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