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2. 電Q☆現代パラレル  

電Q現パロ2 ~出会い編~

その二人は、ごく普通の出会いをした。
――――― と思っていたのは、少女の方だけだったが。
何度か偶然 ――― 半分以上が、偶然を装ったものだった ――― が重なり、そのうちに、顔を合わせれば、気軽に話をする程度の仲になった。

近所の顔見知りの知人。
その程度の付き合いのはずだったのが、ある日を境に、少女は彼の運命に巻き込まれた。

あの日、いつも適当なご飯で済ませている様子を見かねて、彼の自宅へお惣菜をお裾分けにいったのが、運の尽きだったのかもしれない。
まさか、自分があんな物を目撃してしまうとは――――。

今でも、あれは夢だったと思いたいが、現実は彼女に厳しかった。



最初に顔を合わせたのは、夕鈴がバイトをしているコンビニだった。

出入り口の自動ドアが開くと同時に、入店時に鳴るドアホンが、軽快な音を出す。
「いらっしゃいませー」
レジで作業をしていた夕鈴は、新たに入ってきた客の姿に視線を流した。

入ってきたのは、黒髪長身の、若い男性だった。
夕鈴がこのコンビニで働くようになって、既に1年以上が立っているが、初めて見る客だ。

夕鈴の声に、伏せられていた瞼がふいに上がり、彼女と眼が合った。
瞬間、夕鈴はまるで射竦められた様に、固まった。
強い光を持つ紅い瞳が、まっすぐに自分を捕まえている。

夕鈴は、身体が強張り、思わず身構えていた。
「い…いらっしゃいませ……」
だが、気押されながらも、声が出せたのは、生来の負けず嫌いな根性が頭を擡げたからか。
視線を逸らすこと無く、まっすぐに客を見つめる。
時間にして、5秒にも満たないものだったが、凄く長く感じた。

ふ、とその男性の視線が和らいだ。
口元には、微かに笑みのようなものも、浮かんでいる。
夕鈴はほっと緊張を解いた。
視線が逸れて、男性は店内を見回し始め、夕鈴はそれを視界の端に認めながら、手元の作業を再開した。


ふいに人影が差し、顔を上げると、目の前には先程の男性客。
真正面に立たれ、夕鈴は訳もなくどきりとした。
カウンターに、コトリと置かれたのは、缶コーヒーと栄養補助食品。
「あ…お会計ですね」
夕鈴は慌てて手元の書類を寄せ、商品に手を伸ばした。
相手も、品物を差し出そうとしたのか、2人の手が重なる。
「しっ失礼しました!」
夕鈴が慌てて手を引っ込める。俯いた顔は真っ赤だ。
それを見て、男性客は、くすりと笑った。
「大丈夫?」
柔らかな声が頭上から掛けられた。
そっと見上げれば、優しい視線が向けられていた。
「は…はい。失礼致しました。少々お待ち下さい…」
どきどきしながら、夕鈴はバーコードを読み取る。
「缶コーヒー、110円2点…」
ピッと機械音が響く。
「お会計、716円になります」
手早くレジ袋に商品を詰め込みながら、夕鈴の眉が寄った。
缶コーヒーに補助食品という組み合わせが、気になったのだ。
自分には無縁なものだが、きちんと食事を取っていれば、普通は必要ない物だろう。
どんな生活を送っているのか、といつもなら思わない事を、つらつらと考えてしまった。
「何?」
ビニール袋の取っ手を差し出したら、また、声を掛けられた。
「え?」
「今、何か考えてたでしょう?」
「あ、えっと…」
言い当てられて、夕鈴は戸惑った。親友にも、「あんたは顔に思ったことが直ぐに出る」と言われたこともある。
そんなに分かりやすいのだろうか、と思わず自分の顔を触ってしまう。
「差し詰め、こんなもの買ってる奴は、碌な生活してないな、ってところかな?」
からかう様な口調で言われ、慌てたように顔を上げる。
「いえっ!そんなつもりじゃ…っ」
真っ赤になって、否定する。相手は面白そうに笑っていた。
「ご…御免なさい……」
夕鈴は思わず謝ってしまう。
「くくっ。良いよ、本当だし。何なら、君がご飯を作ってくれても良いけど」
「へ?はぁ?」
「じゃあ、またね。汀さん」
そう言って、青年はレジ袋を手に、店を出ていった。
「え?えぇ?何なの???」
夕鈴は、いきなりあれこれ言われたことに、頭が付いていかない。
少し経って、冷静になると、自分はからかわれたんだと思い、腹が立った。
「何なの、あの人。絶対女ったらしよね!」
いきなり名前を呼ぶし。
ネームプレートを弄りながら、夕鈴の文句は続く。
「あの手のタイプは、それこれ綺麗な女性がとっかえひっかえなのよ!
平凡で悪かったわねーっ!」
ぷりぷりと、怒りの方向をあちこちに向けながら、夕鈴は商品棚の整頓を始めた。


二人はこうして出会い、その後気さくな会話を交わすまで、青年のコンビニ通いは続くのだった。
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